わせださいくん×みたぬき 第2話

わせださいくん×みたぬき 第2話

 

前回のあらすじ

 

慶應にカノジョを探しに行ったわせだサイくん。しかし、たくさんの慶應の学生とお話して有頂天になったわせだサイくんは三田キャンパスで突然倒れてしまった。なんとか病院に緊急搬送されるも、その日は目を覚ますことは無かった─────────

 

第4章

衝撃の目覚め

 

病院の先生「キタヤマさん、キタヤマさん。」

 

突然呼びかけられて目が覚めた。

 

私、寝ちゃってたんだ。

それにしても、ここは一体どこだろう。

 

寝ぼけた頭で考えているとだんだん思考がクリアになってくる。

 

私「わせだサイくん!! 」

 

そうだ、わせだサイくんだ。

わせだサイくんが突然倒れて、搬送されて、私はその付き添いでここにいるんだ。

 

気がついたら病院の待合室で寝てしまっていたらしい。

 

私「先生、わせだサイくんは!? 」

 

病院の先生「落ち着いてください。命に別状はありません。…….ですが、少しおかしなことを言っていて…….こちらに来ていただけますか? 」

 

そういって案内されたのはわせだサイくんの病室。

 

耳を澄ますと、中から聞きなれない声が聞こえてきた。

 

あれ……ぼく、何してたんだっけ..….

 

私「よかった! 無事だったんだね! 」

 

しかし、どこか違和感が拭いきれない。

もちろん見た目はいつものわせだサイくんだ。

だが確実に何かが、違う。

 

わせだサイくん「なんで病院に…。えぇ…なんなのだ、このツノ…!? この姿、もしかして…….

 

私「何言ってるの(笑) ツノはわせだサイくんのチャームポイントでありストロングポイントでしょ? 」

 

しかし目の前のわせだサイくんは私の言葉がまるで届いていないようで、血相を変えて頭を抱えている。

 

わ「…….この姿、もしかして早稲田祭のわせだサイくん!?

 

私「ど、どうしたの急に! そうだよ! わせだサイくんだよ! 」

 

その言葉を聞いて、目の前のわせだサイくんは叫んだ。

 

わ「もしかして、ぼくたち…入れ替わってる〜!?

 

第5章

帰還

 

わせだサイくん「ぼくはみたぬきなのだ。」

 

落ち着きを取り戻した“パッと見わせだサイくん”の彼から話を聞くと、

自分は三田祭公式マスコットキャラクターのみたぬきである、という。

 

私「入れ替わっちゃった、ってこと!? にわかには信じ難い話だけど……現に目の前で起こっているしな…….」

 

みたぬき(inわせだサイくん)の話を聞くと、おおよそこんな感じだった。

 

みたぬきは、ある日たまたま食べた早稲田の油そばが美味しすぎて感動し、それ以来足繁く通うようになった。

一昨日も早稲田の油そばを食べていたら、あまりの美味しさに止まらなくなり、気がついたら食べすぎていて倒れてしまったそうだ。

次に目が覚めた時には、もうこの姿だったらしい。

 

何もしてないのに目が覚めたら自分と違う姿になってるなんて、シンプルに可哀想だなとおもった。

 

私「ということは、今どこかにあるはずのみたぬきくんの体の中には…… 」

 

言いかけたその時、私のスマートフォンが鳴った。

公衆電話からの着信だ。

 

私「もしもs…….」

 

助けてツノ〜〜〜〜!

 

でしょうね〜。

 

と言いかけたが、できなかった。

 

想像以上に電話の主は号泣していたのである。

 

私「わせだサイくん!? 落ち着いて! 」

 

「目が、覚めたら…….ウグッ…….もふもふのしっぽが生えてて…….全身フサフサになってて…….ゥウ…….」

 

私「今ね、ここにわせだサイくんの体になっちゃったみたぬきがいるよ。信じられないけど、きっと入れ替わっちゃったんだよ。

 

「ボクどうすれば…….どうすればいいツノ…….!? 」

 

私「とりあえず、早稲田に帰っておいで。 そこから考えよう。」

 

混乱するわせだサイくんをなだめ、電話を切った。

 

みたぬき(inわせだサイくん)も、とりあえず慶應に帰ってみるという。

 

私「わかった、みたぬきくん。慶應まで気をつけて帰ってね。絶対に本物の体を取り戻そうね! 」

 

みたぬき(inわせだサイくん)を見送り、

しばらくすると、わせだサイくん(inみたぬき)が帰ってきた。

 

私「わせだサイくん、おかえり! 本当にみたぬきの体になっちゃったんだね。」

 

わせだサイくん「こんなのドラマとか映画でしか見たことないツノ。まさか現実で起こるなんて…….」

 

私「病院に行ってみる? 何か元に戻る手がかりを教えてくれるかも。」

 

わ「何科にかかればいいツノ…….? 内科でもないし…….ってかボク、サイだから病院行ってもいつも獣医科に回されちゃうし……まあ今はたぬきだけど。

 

私「たしかにたぬきでも同じことだよな……」

 

まったくサイはつらいよ、といった様子でわせだサイくん(inみたぬき)は深いため息をついた。

 

私は考えた。

どうやったら戻れるのだろう。

某有名映画「君の〇は」では、入れ替わった2人は寝る度に元に戻っていた。

寝てみることは、意外と効果的なのかもしれない。

 

私「とりあえず、寝てみたら? 案外起きたら元に戻ってるかもよ! 」

 

わ「そうするツノ……」

 

私「わせだサイくんが寝てる間に、私も対処法がないか考えておくよ。」

 

肩を落とすわせだサイくん(inみたぬき)を送り出した。

モフモフのしっぽが垂れ下がっていて、落ち込んでいるのは一目瞭然だった。

↑目が覚めたときのわせだサイくんのツイート。かなり焦っているようだ。

↑みたぬきのツイート。まるで示し合わせたかのように同じような文脈なのが気になる。

 

第7章

似た者同士

 

次の日、私は心配だったのでわせだサイくんの家までお迎えに上がった。

 

わせだサイくん「おはよツノ〜」

 

私「あー、まだみたぬきくんのままなのか。」

 

わ「そうなんだツノよね〜」

 

しかし、予想とは裏腹に、家から出てきたわせだサイくん(inみたぬき)は心做しか晴れやかな顔だった。

 

私「思ったより落ち込んでないんだね。よかった。」

 

わ「戻れないなら、もうこの姿を甘んじて受け入れるしかないかな、と思ったツノ」

 

私「ほう。」

 

……いや、切り替え早いな。

 

私が全然知らない人ともし入れ替わったりでもしたらと想像すると、かなりキツいものがある。

 

しかも今回はサイとたぬき。

 

学術的分類で考えると、人間とキリン、くらいの違いである。(多分)

 

わせだサイくんは意外と肝が座っているのかもしれない。

 

その覚悟に驚くあまり、私はわせだサイくん(inみたぬき)がその時悪い顔をしていることに気がつかなかった。

 

わ「ちょっと出かけてくるツノ

 

わせだサイくん(inみたぬき)はそう言ってどこかへ出て行ってしまった。

 

まあ元気なら良いか。

そう思って、私は授業に向かった。

 

授業が終わった。

ふう、今日も疲れたな。

なんて思いながらTwitterを眺めていると。

 

え。

 

タイムラインに流れてきたツイートを目にして、驚いてしまった。

何やってるん。

 

……いや、何やってるん。

 

このサイ、完全に入れ替わりを悪用していた。

晴れやかな顔だったのは、入れ替わりを甘んじて受け入れたとかではなく、ただイタズラを思いついただけだったのだ。

 

全く何をやっているんだか。

私は急いでLINEでわせだサイくんとのトークを開いた。

バレた、じゃないよ。

ツイートしとるやんけ。

 

送信しようとしたその時、誰かから着信があった。

 

早稲田祭運営スタッフの偉い人からだ。

 

偉い人から連絡が来るなんて、珍しい。

よっぽどのことでもあったのだろうか。

 

私「もしもし、どうしましたか? 」

 

偉い人「もしもし。ちょっと苦情が入ってて。」

 

苦情? なんのことだろう。

 

偉い人「わせだサイくんがやらかしてるみたいなんだ。」

 

私「まさか……」

 

偉い人「なんでも、たぬきのキャラクターのポスターを、大学構内の至る所に貼りまくってるらしいんだよ。

 

嫌な予感がした。

私は急いでみたぬきくんのTwitterを開いた。

やっぱり。

 

案の定、みたぬきくんもバッチリこのハプニングを悪用していた。

 

まったく、わせだサイくんの姿を利用して誤解を生むようなことをするなんてひどいな、と思った。いや、でも……

 

私「(全然お互い様だな……)」

 

私はある意味似た者同士の公式マスコットキャラクター2人のハプニングに

これ以上首を突っ込まない方が吉だと判断して、その日は帰宅した。

 

第9章

見覚え

 

その日のうちに、お互いの悪行はお互いの耳に入ったらしい。

2人のツイートを見るに、かなりお互いの行動に怒っているようだった。

傍から見れば100パーセントお互い様である。

 

しかも、ツイートの画像が完全に見覚えがある気がしたが、そんなことは言ってられない。

※見覚え

 

お互いのためにも早く元に戻った方がいいだろう。

 

私「わせだサイくん、元に戻る方法見つかった?」

 

相変わらずモフモフしっぽのわせだサイくん(inみたぬき)に聞くと、返ってきたのは意外な答えだった。

 

わせだサイくん「それが、見つかったっぽいんだツノ」

 

わ「ボクかみたぬきくんのどちらかのツイートが100RTいけば戻れるらしいツノ! 」

 

これは信じるしかない。

 

誰になんと言われようと、戻るにはこうするしかないのだ。オーディエンスの疑問の声は今の私には聞こえない。

 

私「100RTいけばいいんだね!

 

原理なんてわからない。とにかく100RTいけばいいのである。

 

ワ「とりあえずツイートしてみたツノ〜!」

そうしてわせだサイくんとみたぬきの闘いの日々が始まった。

ちなみにまたもやツイートの画像が完全に見覚えある気がしたが、細かいことは気にしないことにした。

※見覚え

 

第10章

台風19号

 

入れ替わって2日。

 

台風19号が日本列島を直撃した日だった。

 

私はわせだサイくん(inみたぬき)の家に来ていた。

 

わせだサイくん(inみたぬき)の家がある地域もかなり風が強く、対策はぬかりない。

わせだサイくん「早く戻りたいツノ……」

 

うわ言のように呟くわせだサイくん(inみたぬき)を見るに、そろそろ限界が近いようだ。

 

雨風が強まってきた。

 

私「こんな台風今までにあったっけ? なんだか自分の家が心配になってきたわ。」

 

わ「とっても怖いツノね……」

 

私「私、やっぱり帰るわ! 家が心配! 」

 

わ「わかったツノ! バイバイツノ〜! 」

 

私はわせだサイくんの家を後にした。

 

背中の方で何かが倒れた音がしたのに、

暴風雨の音にかき消され、私の耳には届かなかった。

 

第11章

現在

 

わせだサイくん「いや、本当によかったツノ……

 

わせだサイくんが元の姿に戻って25日程が経とうとしている。

 

気がつけば早稲田祭2019まで残り6日。

すっかり冷え込む季節になっていた。

 

わ「あのまま入れ替わったままだったらと思うと……身震いするツノ」

 

わせだサイくんが元の姿に戻れたのは、あの台風の日、私が帰った直後だったらしい。

 

突然目眩がしてそのまま寝てしまい、目が覚めたら元の姿だったそうだ。

 

おそらくツイートが100RTいった瞬間に、入れ替わりのスイッチのようなものが発動したのだろう、とわせだサイくんは言った。

 

わ「よかったツノ〜! 」

 

わせだサイくんは自慢のツノを触りながら喜んでいた。

 

何はともあれ、元の姿に戻れてよかった。

わせだサイくんとみたぬきくんは、この一件で大親友になれたそうだ。

 

マスコットキャラクター同士、マスコットキャラクターあるある山手線ゲームなどをするらしい。

 

二人でやって楽しいのかどうかは甚だ疑問ではあるが、

仲が良いことは微笑ましいことである。

 

こうして、わせだサイくんとみたぬきの入れ替わり事件は幕を閉じた。

 

長いようで短かった入れ替わりの期間、

今思えば、二人が仲良くなるための出来事だったのかもしれない。

 

わ「やっぱりこのカラダ、しっくりくるツノ」

 

こう喜んでいるが、私は元に戻れた次の日、わせだサイくんがポロッと漏らした本音を忘れてはいなかった。

 

わ「やっぱり慶應ボーイのままの方がよかった気もするツノな……モテそうだし。」

 

私「なんて??」

 

わ「な、なんでもないツノ!!

 

漏れ聞こえた声は本音なのか何なのか、

とりあえず私は聞かなかったことにした。

 

まだまだ、わせだサイくんの早稲田祭公式マスコットキャラクターお仕事はたくさん残っているのだから。

 

~完~

 

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